高燃料 運送事業者の声

軽油価格が、ここ10年の間で2番目に高い水準で推移している。リッターあたりの税率が32.1円の軽油引取税のなかで、旧・暫定税率げ17.1円分を課税停止にする水準に、あと数円にまで燃料価格が高騰している地域もある。しかし、今回は「なぜ、もっと声を出さないのか」「業者がみんなおとなし過ぎる」といった声が聞かれはするものの、その反面、燃料の共同購入を事業の柱とする事業協同組合の総会でも声は比較的穏やかである。燃料高騰に対する、ここ10年閣の反応の変化は、トラック運送業界の中で、どんな条件変化によるものなのかを検証してみた。

意見が分かれる組合関係者

全ト協によると、燃料価格高騰時の旧・暫定税率の課税措置を停止(トリガー条項)する価格の水準は、軽油であってもガソリン価格が指標となる。この場合のガソリン価格は、総務省の「小売物価統計調査」を参照することとなっている。この調査によるとガソリン価格が3ヶ月平均でリッター160円を超えると、ガソリン税、軽油引取税の旧・暫定税率(ガソリン税は25.1円、軽油引取税は17.1円)分が課税停止になる仕組みである。今月1日に発表された小売物価統計調査によると、ガソリンの都市別小売価格は、全国81の都市の中で最も高かったのが、佐賀市の157円。次いで大分、鹿児島の両市で156円となっており、いずれもトリガー条項発動の水準まであと3・4円のところまできている。西日本、特に九州や四国地方で高値の水準となっている。現在、ガソリン価格の全国平均価格は151.0円であり、軽油価格は、129.4円と高水準である。ここ10年間の値で比較すると過去2番目の高水準といえる。もっとも高かったのが、リーマンショック直前の2008年夏で、148.9円であった。今回は、それに次ぐ水準となっているのである。それにも関わらず燃料高を憂えるトラック業界関係者は思いのほか少ない。近隣市で開かれた協同組合の通常総会などでも、そうした話は一切出なかった。しかし、その一方で燃料の高等科は死活問題になりかねないとする人も少なくないのが現状である。

燃料高でも仕事を断れる

「スポット運賃は上昇している。問題は、納期が早すぎること」と近隣のトラック業者は話し、運賃よりも時間を気にかけている。東京オリンピックに合わせて各地域で様々な工事が行われ、それに伴った物流が発生している。そうした中で「運賃が高い」という話は聞こえてこない。それよりも「その分、翌日必着で」という声が多数を占め、時間を重要視しているのだ。燃料高になっても、対売上高の燃料比率が高い長距離輸送業者ですらそうなのだから、近距離輸送の業者は、燃料の高騰で運賃が合わなければ仕事を断れる環境になってきているのだ。燃料高でも声が上がってこない背景にはこうしたことが影響しているようだ。

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