帝国データバンクは8月26日、人手不足に対する企業の動向調査(2020年7月)を発表した。
それによると、正社員が不足している企業は30.4%(前年同月比18.1ポイント減)となった。7月としては4年ぶりの3割台となり、人手不足割合は大幅に減少している。
業種別では「建設」(51.9%)が最も高く、「メンテナンス・警備・検査」「教育サービス」「農・林・水産」など7業種が4割台で続いた。
上位となった10業種中で8業種は人手不足割合の大幅な減少がみられるなか、「教育サービス」と「各種商品小売」の2業種は増加した。また、人手が「過剰」とした企業は22.9%で同13.6ポイント増となるなど、企業の過不足感は大きく変化している。
人手不足割合が高かった「旅館・ホテル」は、新型コロナウイルスの影響で大きく変化し、人手が「過剰」とする割合は正社員・非正社員ともに全業種中で最も高くなった。「飲食店」の人手不足割合は、緊急事態宣言が解除され客足が戻ったことで上昇傾向にある。
運輸・倉庫業界は、従業員が「不足」している上位10業種のうちの10位36.0%と2018年7月時の調査数字67.6%と比べ人出不足割合は大幅に減少している。
新型コロナウイルスの影響により、5割前後で推移していた人手不足割合は3割まで減少した。
しかし、企業からは「どの程度まで業務量が回復するかわからないが、潜在的にある人手不足は解決していない」(塗装工事、大阪府)といった声があり、新型コロナウイルスが収束に近づき業務量が増加する過程で再び人手不足に陥るケースも想定される。今後は、徐々に経済活動の制約が解除されていくなかで、人手不足割合がどのように推移するか注視する必要があるとしている。